利他のこころ

企業を永続させていく為には利潤を追求していかなければなりません。

どんなに人の役に立つ仕事でも利益を生み出さない事業は永続することが

難しいものです。

企業が企業として存続していく為には、「儲ける」ということは絶対的な

要素です。そもそも企業が儲かっていなければ、誰も「後を継ぐ」という

行為には走らないはずです。

借金まみれの赤字企業であれば、企業再生を専門としているような組織の

方ならば別として、普通は跡継ぎの候補はいないのです。

近年、街の商店街がさびれていくのは後継者の存在がいないということではなく

儲からないから事業の継承を断念して廃業の道を選ぶ企業が多いという現実の

表われです。



後継者にとって「儲かる」というキーワードは絶対的に重要なことです。

もちろん、事業を始める起業者にとっても儲からない事業をやることは

基本的にはありえません。

初めは儲かることを信じることが、事業成功の活力であるのです。

自分自身の幸せを追求することからすべては始まります。

しかしながら、事業が順調に推移してくると、自分自身の幸せを多少犠牲に

しても社員をはじめとする関係者の皆さまの幸せを優先する気持ちが生まれて

きます。

さらには、儲けよりも社会貢献をすることに注力するようになっていくのです。

これが世にいう「成功者」であり、自分自身の利益だけを追求している状態

では世間の人は誰も成功者とは思って頂けません。



後継者に「利他の心」が生まれなければ、企業は存続していきません。

しかしながら、事業承継の最初から後継者に利他の心を求めるのは決して

得策ではありません。

後継者に他人を思いやる心が無いということではなく、自分のことを考える

ことしか余裕がないからです。

「利他の心」を」醸成することよりも、の後継者に利他の心を発揮できる

環境を整備することが事業承継の成功のカギなのです。








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非凡な才能

今年から大リーグに活躍の場を移した、大谷翔平選手が

投打に大活躍をされています。

同じ日本人として誇らしい活躍ですが、投手としても一流、

打者としても一流といういわゆる「二刀流」が世界最高峰の野球のリーグ

で通用するのかと多くの人が懐疑的であったことを簡単に跳ねのける

活躍には拍手喝采です。

こうなってくると周りの期待と欲が出てくるものであり、非凡な才能を持つ

大谷選手を使う監督はとても難しい起用の決断を強いられることになります。




事業承継において、非凡な後継者は事業承継そのものがうまくいかない

ケースが多々あります。後継者が優秀であることは喜ばしいことですが、

優秀であるということは、他の分野でも優秀であることに繋がります。

結果として、実家の事業を継承することは非凡な後継者にとって大幅な

収入減になったり、そもそもその人の持つポテンシャルが発揮できない

世界かもしれないのです。

私の知り合いの会社のご子息は外交官であり、外交官を辞めてまで

従業員20人程の会社を継ぐことはないということで結果的に事業承継は

成立せず、その会社は廃業の道を選びました。

会社が黒字で長年安定した経営をしていた会社が後継者が優秀すぎる上に

うまくいかなかった典型的な事例です。



事業承継が難しいのは後継者が優秀すぎてもダメということです。

もちろん、能力のない人が後継者になるということはもっとダメなことですが。

つまりは極めて不安定な「バランス」の上に事業承継の成否が

かかっているのです。

おかげさまで私の場合はあまり優秀でなかったので、事業承継は

うまく行きました(笑)

しかしながら、次の息子の代への事業承継はどうなるかはわかりません。

親として非凡な息子ならば誇らしいですが、事業承継に非凡な才能はなかなか

悩みどころなのです。


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ハンコ

事業承継において、後継者が自分自身が代表になったと実感する

瞬間というのは、自分自身のフルネームが入ったハンコを押すことです。

法人が何かしらの行為をする時に必ずと言ってよいほど、代表者の名前が

必要になってきます。

言ってみれば、自分の名前であって自分の名前で無くなる瞬間でもあるのです。

日本という法治国家は「記名押印」というものが統治の仕組みであり、

「ハンコ主義」であり、時として自署よりも他人が書き加えた記名と押印の

ほうが効力があるという実態や実感とは現実はかけ離れていることを知ることに

なるのです。




「経営者のと報酬は判子代」という方もいらしゃるほど、経営者になるとハンコを

押す回数が飛躍的に多くなります。

私自身は毎日、社員から上がってくる、日報や報告書、稟議書などに押印する

ことが毎朝の日課になってしまっていますが、多い日で300回は押印という

行為をしていると思います。

何気に押印している書類一つ一つが個々にとっては重要な案件であり、

ハンコを押した以上、責任からは逃れられないのです。

「決裁=決断」であり、ハンコを押すことが決断という仕事をしているのです。




時として社運を賭けた契約書に押印したり、多額の借り入れをする時に書類に

押印する時には手が震えることがあります。

それだけ、責任という重圧と戦っている証です。

しかしながら、容易な決断、難しい決断というレベルの差はあると思いますが、

決断は決断あり、責任からはトップは逃げることができません。

ハンコを押すことの重要性をしっかりと後継者に理解させることは

事業承継の成功のカギなのです。




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生涯現役

平昌オリンピックを観ていて、レジェンドと呼ばれるスキージャンプ競技

の葛西紀明選手はオリンピック史上最多出場の8回目ということで「すごい」

の一言に尽きます。長年トップアスリートであり続けることの努力は

誰からも賞賛もされますし、ただ長くやることは出来てもその競技の

第一人者であり続けることは「レジェンド」という称号は的確でしょう。

平昌オリンピックが終わっても、次の4年後を目指す姿勢には感服します。

是非とも4年後を目指して頑張って頂きたいものです。



会社を経営する経営者でも、「生涯現役」にこだわる経営者は多々います。

学生の頃に創業してそのまま半世紀以上社長業を行っている社長さんが

私の周りにもいらっしゃいます。

90歳で社長・100歳で社長という方もいらっしゃいます。

生涯現役を貫く覚悟を持って社長業に邁進することは素晴らしいことですが、

事業を継承する観点から指摘をすれば、いささか問題があるのです。

仮に90歳まで社長の座に君臨していた方が事業を継承しても、継承者である

息子さんは既に還暦を超えていたというようなことになります。

継承者を育てるという観点からいえば、前任者が長くトップにいることは

デメリットばかりなのです。

私の場合は30歳で社長になりましたが、世間からは30歳の若造に社長は

早いという批判的なご意見も多数頂きました。

しかし、社長業を継承する時に前任者である社長が数年間は並走してくれた

ことは本当に有難いことでした。

実際には、並走中も意見の対立で揉め事は尽きませんでしたが・・・



私の本業である葬儀の仕事からは本人が望まずに「生涯現役」になって

しまったケースに何度も遭遇しています。

事業承継という概念すら意識をしない状態の中での突然の死。

社長が現役で死を迎えることが、企業において多大なリスクであることは

言うまでもありません。




「生涯現役」であり続けることは否定はしませんが、社長業として

トップアスリートであり続けることが絶対条件です。

トップアスリートであったことが過去の話しになった状態で社長で

あることは企業の衰退を意味し、その結果の不幸を招く原因になるのです。

私自身も気力・体力・知力が続くトップであり続ける努力はしなければ

なりませんが、同時にトップアスリートの後継者を育てる義務が存在します。

このバランス維持が事業承継の難しさなのです。






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ビジョン

経営者において「ビジョン」を持つことは非常に大切なことです。

辞書を引くとビジョンとは

1 将来の構想。展望。また、将来を見通す力。洞察力。

2 視覚。視力。また、視覚による映像。

とあり、将来を見据えた方向性を示す上でのビジョンは絶対的に

不可欠なものです。

「あの経営者はビジョンがない」

と言われることは屈辱的なことであり、ビジョン無き経営は危ういのです。

語源を辿るとビジョンは視角・視力という意味のほうが近いのですが、

ビジョンという言葉に「少し離れた」という意味が含まれていることから、

将来の展望という意味合いで使われることが多くなったのです。




事業承継においては継承する側もされる側も明確なビジョンが必要です。

ビジョンが不明確であればあるほど、様々な難題に直面する度に進むべき

方向性を見失う危険にさらされるのです。

ビジョンは中・長期計画と解釈をする方が多いのですが、間違いではない

のですが、厳密に言えば違うのです。

言葉の意味のとおり、想いを「見える化」していくこと。

そして、シンプルな言葉で表現をしなければ伝わらないのです。

ビジョンは羅針盤であり、目標点です。

言うなれば、ビジョンの下に中・長期計画があるべきなのです。




自らの進むべき方向をシンプルに明確にすること。

自分自身がいくら熟考を重ねて、素晴らしい文章で表現しても、相手に

伝わらなければ何もならないことを今一度理解しておかないと

ビジョンを策定しても自身の望むような結果は生まれてこないのです。







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葛藤

葛(かずら)と藤(ふじ)の枝が絡み合い、もつれ合っている様を表して

いる「葛藤」という言葉は人が人であることの心の様の象徴である

ことばだと思うのです。

世の中は「1+1=2」というような明確な答えを導き出せることのほうが

少数であり、どちらを選んでも後悔が残る選択をしていくことのほうが

多いのです。ベストという選択肢が存在しない中で、選択肢を一つに

絞り、実行していくことが「決断」であり、経営者にとって「決断」とは

経営そのものであると言っても過言ではないでしょう。

一つの決断がその後の結果に大きく関わる中で、間違えた選択をしない

ようにすることは実際のところ不可能に近く、どれを選んでも後悔が残る

からこそ「葛藤」をし、孤独を味わうものです。




俗に№1と№2の違いは天地ほど違うといわれますが、心の葛藤の

量が比べ物にならないからこその違いです。

もつれあい絡みあっている状態から解きほぐしていくことの能力は

誰にも必要な生きていく為のスキルですが、机の上の勉強では

教えることが難しいスキルだと言えるのです。

事業承継はこのことの教えるのに最も近道な勉強法であり、勉強する

機会は早ければ早いほど効果的なのです。

しかしながら、その勉強法は苦痛が伴う実体験であり、時として

苦痛に耐えられない人がおり、事業承継そのものが大失敗をしてしまう

ことがしばしば起きるのです。

そうならない為のケアができる「アドバイザー」が社内外を問わず必ず

必要なことだと思います。




事業承継においてアドバイザーは必要です。

当事者ではないアドバイザーが当事者の心の葛藤を見守らないと

最悪は破綻をしてしまうものです。

破綻しないように、そして心の苦痛に耐えられるだけのスキルを継承者

に習得させることが事業承継の肝だと言えるのです。




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縦軸と事業承継

「倒産をした企業の85%が神棚を置いてなかった」というデータはご存知ですか。

85%という数字が示すものは「企業に神棚を置かなければならない」という

結論になるのですが、単に神棚を置いただけでは企業の繁栄はありません。

気休めでしかないのです。

重要なのは神棚を置く経営者の心理を読み解かなけれなりません。

神棚を置くのは単に神仏を大切にしているから神棚を置くということでは

ありません。もちろん神仏を大切にする心はとても重要なのですが、

本質的には神仏の向こうに父であり、母がいるのです。

つまり、先代はじめご先祖様を大切にする姿勢こそ、成功と繁栄の

秘訣なのです。





事業承継を語る時には「縦軸」の継承を意識します。

長男・次男という横の軸ではなく親・子の縦の軸を意識することが

事業継承です。

事業を継承するには先代から受け継いだアイデンティティを理解すること

から始まります。しかしながら、私自身もそうでしたが、「理解」をするには

どうしても時間がかかるのです。

それは、なんだかんだと言っても失敗をしないとわからないという側面と

経験値の差なのです。

さらにいえば、生活環境の差ともいえます。





「変えていけないものは絶対に変えない」

ということが、企業永続のエッセンスです。

しかしながら、時代の変遷が目まぐるしい現代社会において、

「変化無き企業」は淘汰されていきます。

そのような継承者のあせりや不安が事業における大きなつまずきに

陥ってしまうのです。



ではどのようにしたら良いかということになりますが、

縦軸の教えを理解するには「節目」を大切にすることです。

会社の年中行事を大切にすることは一番の節目を付けやすい実践であり、

節目を付ける訓練の究極が神事であり、神棚がその想いを

顕在化させているのです。





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こだわり

人は誰も「こだわり」を持っているものです。

他人からすれば、どうでもよいことに「こだわる」。結果としてその気持ちを

なかなか理解をしてもらえないものです。

事業承継においてとても難しいものはこの「こだわり」の衝突です。

親子であっても、「こだわる」ところは絶対に違っているもので、

事業承継において「成功」を勝ち取るには「こだわり」を統一することは

必須項目です。



「こだわり」は「信念」という言葉に置き換えられます。

信念が形成される背景にはその人の人生哲学があり、言い換えれば

「経験」の違いなのです。過去の失敗経験だけでなく、生まれた時期

過ごした場所、友人・知人などの取り巻きたち。

すべてが一つと同じ人はいない以上「こだわり」が絶対に違うものです。



事業承継で継承した人が一番悩むことは先代の「こだわり」です。

代々受け継いできた「家」の「こだわり」なら受け入れることが簡単ですが、

自分の「こだわり」と違うことは基本的に継承者にとってどうでもよいこと。

しかしながら、先代にとっては決しておろそかにしてはいけないことです。

「なぜやらないのだ。」「なんで勝手に廃止したのだ」という諍いがしばしば

どこの企業でも団体でも起きているのです。

「こだわり」を継承することが真の意味での事業承継であるのです。

継承者の「こだわり」を先代が否定すれば、絶対にうまくいかない以上、

「こだわり」を合わせていく為の話しあいと良い意味での妥協は絶対に

必要なことなのです。



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敬語

そもそも、言葉というものは道具です。

コミュニケーションツールです。

小さいネジに大きなドライバーを用いてもネジ締めができないように

状況に合わせた言葉(道具)を用いることがとても大切なのに、道具で

あるという意識がないからこそ、ひどい使い方をして物事が成就できない

ばかりか信用さえも失ってしまう結果になってしまうことがおきるのです。




経営者になる人は敬語の使うことは必須のスキルです。

お客様に、お取引先に、社員に。

とにかく、人の上に立てば立つほど、敬語のスキルはますます重要に

なってくるのです。

敬語というと「尊敬している人にしか使えない」という小学生らしい言い訳

が時として聞こえてくるのですが、ビジネス上の敬語は基本的に「守り」です。

自分の身を守る防御としての「敬語」は盾そのものです。

つまり、敬語を用いないでビジネスを行うということは、剣だけを持ち、盾を

持たないで戦うことと同じであり、余程の剣術の達人しか勝つことは難しいの

です。

道具である以上、その道具の効果が最大限活用できるように使用することが

とても大切なのです。




事業承継において、敬語はさらに重要です。

継承をしたとたんに、先代との比較という矢があらゆる方向から飛んでくる

のです。その矢を避けるにはどうしても敬語の能力は必要です。

敬語が正しく使えないばかりに後継者としての評価が下がってしまうケース

はたくさん見てきました。

後継者として英語を含めた語学に秀でていることが大変大切なことですが、

それ以上に大切なものは「敬語の使い方」であるはずです。

事業承継の準備として、敬語のスキルアップは絶対にしなければなりません。


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改革と保守

時代の流れ早いもので、この間までブレイクしていた芸人が一年以内に

メディアから消えている現状では、何年もかけて開発した新商品も

瞬く間に消費者に飽きられてしまう危険性があり、それを事業として

運営することの経営上の難しさを多くの経営者が悩みとして抱えています。

企業を運営していくにはその時代、時代の変革や改革が必要であり、

それが無ければ絶対に衰退の道をたどっていくものです。

そうはいっても、これまでに頑張って築きあげてきたものが多ければ

多いほど、変化することに抵抗を覚えるものであり、誰しもどうしても

保守的な考え方になってしまいます。




事業承継を行うことは言い換えれば「改革」です。

それも大企業以上に中小企業の場合は大改革になるのです。

どうせ改革を行うならば、時代に合わせた改革のできる事業後継者の

存在がとても重要なのです。

後継者が先代よりも保守的な考え方を思っている場合は時代の変革に

対応できないことがあります。

ここで大切なのは後継者が怖くて一歩踏み出す勇気ない姿を

「保守的」と間違った見方をしてなりません。

そのような場合は後継者の背中を押し出す役目の人が必ず必要です。

反面、後継者がトップになって瞬間にやりたいことをやりたいように

やろうということの度が過ぎている場合はブレーキをかける役は必ず

必要です。必要なのはわかっているのですが、その匙加減とタイミング、

そして誰が間に入るのかということがとても難しいのです。




「改革と保守」

事業承継の成功にはバランスが重要です。





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