命がけ

最近、命がけで何かをしたことってありましたか。

日々の生活をしている時は「全力」をふり絞ることはなかなか無いものです。

仕事上の重要な局面において「命がけ」で仕事をしなければ乗り切れない

ことは時折、やってくるものです。

「命がけ」というと大げさな表現だと思う方もいらっしゃると思いますが、

そのような方は「全力」という言葉に置き換えたほうがしっくりくるかも

しれません。




企業にも命があり、命を存続することは文字通り「命がけ」のことです。

命を繋いでいくことが「命がけ」である以上、自分自身の命も含めて、

会社の命を守ることは一瞬の手抜きも油断もあってはならないのです。

しかしながら、事業承継の場面を傍から見ていると、とても「命がけ」で

取り組んでいるとは言い難いケースがとても多いのです。

「仕方なしに」「兄弟で男が自分だけだから」「ほかに跡継ぎがいないから」

などという言い訳を継承者の口から飛び出る度に、腹が立つのです。

母が偉大なのは子を産む時に命を懸けて産むからであり、命を懸けるという

ことは「不退転の覚悟」がそこに存在するのです。

ですから、そこにどんなことがあっても「言い訳」なんかは存在するはずは

ないのです。



前述のとおり、「命がけ」という言葉は大げさだと思う方もいらっしゃると

思いますが、混沌とする世情の中では企業のトップが命を懸けなければ

守れないくらい厳しいのが実情です。

そして、「命がけ」の方は行動は鬼気迫るものがあり、「強さ」の象徴です。

元来、事業承継とは「命がけ」で行うものなのです。

事業承継に命をかけなければ、成功は勝ち取ることはできないのです。




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親子

中小企業の多くの場合は事業承継と言えば、親から子への世襲となります。

世襲であることの批判をされる方もいらっしゃいますが、元来、世襲が出来る

ことは素晴らしいことなのですが、批判をされる理由に大きく二つの理由がある

と思われます。

一つは受け継ぐ側の人間が優秀でないとき。

そして、もう一つは世襲できることの羨望からくるやっかみ。

なぜやっかみかと言うと世襲という事業承継を望んでも出来ないケースが

多いからなのです。



同じDNAを受け継ぐ親子が次の代を継承することは、先代からの教えや

企業のアイデンティティーは他人に継承することと比べれば大切にされやすい

ものではないでしょうか。

しかしながら、親子であるからと言ってすべてが同じでは決してありませんし、

親子だからこそ、かえって反発をするものなのです。

反発をする一番の原因は親子であるということの「甘え」です。

これは「親」でも「子」でもそれぞれが「甘え」を持っているものです。

そして、同じ遺伝子を持っている親子でも育った環境、育った時代が全く

違うのですから、そもそも同じ価値観になることは絶対にありえないのです。

同じ価値観ではないのに同じ価値観だと思い込んで価値観の押しつけが

多くの事業承継のトラブルの一番の要因です。

大切なのは親子でも価値観は違うということの認識と違う価値観をお互いが

譲歩して、方向性を合わせていくことが事業承継なのです。

親子の間にある「甘え」が他人よりも方向性を合わせることを時として困難に

していきます。

この甘えを受け渡す側も受け継ぐ側も捨てなければ、実は親子ほどバトンの

受け渡しは難しいものです。







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辞めることが出来ない苦しみ

継承する側にとって、事業継承が難しいと感じるのは「辞める」ことだからです。

事業に限らず、「止める」ことは「始める」ことの10倍難しいものです。

一番解りやすい事例と挙げるとすれば、夫婦を止めること、すなわち

「離婚」を経験された方なら、実感として「止める」難しさを感じて頂けるのでは

ないかと思います。




後継者は先代から事業を継承された瞬間から、「辞めることができない苦しみ」

との闘いが始まります。

どんなに体調不良でも、やる気が無くなっても、現実から逃げたいと思うことが

起こっても「辞める」という行為が成就できるのは次期後継者を選定して事業継承

を行うか、自らの意思で会社を閉鎖するか、あるいは譲渡ができた時のみです。

後継者が事業を引き継ぐということは「どんなことがあっても辞めない」という

強い覚悟が必要なのです。

しかしながら、この覚悟を充分に理解せずに先代から事業を継承された場合の

現実はやはり「辛い」という気持ちが心を支配してしまうことがあるのです。




今更ですが、事業を継続することは多くの「責任」を担っています。

時として自分の持っているキャパ以上の責任が押し寄せてくることもあるのです。

その時に、逃げずに立ち向かっていく心を形成しなければ、経営は必ず

不安定になってしまうのです。

会社に所属する多くの従業員は安定を求めます。

毎月、大きな業務上のトラブルや給与の未払いなどがおきれば、働くことから

逃げ出したくなるのは当然の結果です。

逆に言えば、会社が安定をしているのは社長の「辞めることが出来ない苦しみ」

闘っている証拠なのです。











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補欠

大谷翔平選手が二刀流として、投打に渡り、世界最高峰の大リーグで

活躍をしているニュースが連日報道され、ファンにとっては嬉しい活躍ぶりです。

大リーグでヒット一本を打つことの難しさ、マウンドに立って一球を投げる

難しさは野球をやったことのある方ならどれだけ難しいかは説明をするまでも

なく、間違いなく超難関なことです。そもそもベンチに入ることが出来る選手は

25人であり、ベンチに入ることさえとても難しいことでそこでレギュラーで活躍

をすることは奇跡中の軌跡です。

いわゆる補欠にはいることだけでも素晴らしい世界がそこのあるのです。

その中で大活躍をしている大谷選手はじめ、日本人の選手は同じ日本人として

誇らしいことですね。



サラリーマンが企業のトップになることはレギュラーの中でも、一番輝いている

人にしかチャンスは回ってきません。レギュラーの中から選ばれ選ばれることが

常であり、間違っても補欠の中から企業のトップに就任することはないのです。

ところが、世襲による事業承継は補欠の中からいきなり、企業のトップになって

しまうことが多々あります。

このことが、やはり、事業承継をややこしくしてしまう要因です。

つまり、実力がないのに最も実力が要求される中心選手になることは、

スポーツの団体競技の中では普通はありえないことが往々にして起きてしまって

いることを理解しなければなりません。



このことを解決するには、実力をただひたすら磨いてせめてレギュラーポジション

を与えても良いと周りが納得をできる力が必要です。

その上で活躍が要求されるのが、世の中の道理なのです。



企業のトップである社長が決してチーム内のトッププレイヤーである必要は

ありませんが、補欠のレベルではいけないのです。

そして、レギュラーを勝ち取っても、レギュラーであり続ける為のトレーニングを

怠った時に補欠に逆戻りをしてしまうものです。

その為の鍛錬と研究は事業継承者にとって、引退するまで永遠の命題なのです。

しかしながら、実際にこの命題を忘れかけている企業経営者が多いことも

事実です。

決して忘れてはならないし、補欠でもレギュラーになってしまっているかもと

自分自身を疑うことが事業承継後に必ず必要な心得なのです。










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利他のこころ

企業を永続させていく為には利潤を追求していかなければなりません。

どんなに人の役に立つ仕事でも利益を生み出さない事業は永続することが

難しいものです。

企業が企業として存続していく為には、「儲ける」ということは絶対的な

要素です。そもそも企業が儲かっていなければ、誰も「後を継ぐ」という

行為には走らないはずです。

借金まみれの赤字企業であれば、企業再生を専門としているような組織の

方ならば別として、普通は跡継ぎの候補はいないのです。

近年、街の商店街がさびれていくのは後継者の存在がいないということではなく

儲からないから事業の継承を断念して廃業の道を選ぶ企業が多いという現実の

表われです。



後継者にとって「儲かる」というキーワードは絶対的に重要なことです。

もちろん、事業を始める起業者にとっても儲からない事業をやることは

基本的にはありえません。

初めは儲かることを信じることが、事業成功の活力であるのです。

自分自身の幸せを追求することからすべては始まります。

しかしながら、事業が順調に推移してくると、自分自身の幸せを多少犠牲に

しても社員をはじめとする関係者の皆さまの幸せを優先する気持ちが生まれて

きます。

さらには、儲けよりも社会貢献をすることに注力するようになっていくのです。

これが世にいう「成功者」であり、自分自身の利益だけを追求している状態

では世間の人は誰も成功者とは思って頂けません。



後継者に「利他の心」が生まれなければ、企業は存続していきません。

しかしながら、事業承継の最初から後継者に利他の心を求めるのは決して

得策ではありません。

後継者に他人を思いやる心が無いということではなく、自分のことを考える

ことしか余裕がないからです。

「利他の心」を」醸成することよりも、の後継者に利他の心を発揮できる

環境を整備することが事業承継の成功のカギなのです。








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非凡な才能

今年から大リーグに活躍の場を移した、大谷翔平選手が

投打に大活躍をされています。

同じ日本人として誇らしい活躍ですが、投手としても一流、

打者としても一流といういわゆる「二刀流」が世界最高峰の野球のリーグ

で通用するのかと多くの人が懐疑的であったことを簡単に跳ねのける

活躍には拍手喝采です。

こうなってくると周りの期待と欲が出てくるものであり、非凡な才能を持つ

大谷選手を使う監督はとても難しい起用の決断を強いられることになります。




事業承継において、非凡な後継者は事業承継そのものがうまくいかない

ケースが多々あります。後継者が優秀であることは喜ばしいことですが、

優秀であるということは、他の分野でも優秀であることに繋がります。

結果として、実家の事業を継承することは非凡な後継者にとって大幅な

収入減になったり、そもそもその人の持つポテンシャルが発揮できない

世界かもしれないのです。

私の知り合いの会社のご子息は外交官であり、外交官を辞めてまで

従業員20人程の会社を継ぐことはないということで結果的に事業承継は

成立せず、その会社は廃業の道を選びました。

会社が黒字で長年安定した経営をしていた会社が後継者が優秀すぎる上に

うまくいかなかった典型的な事例です。



事業承継が難しいのは後継者が優秀すぎてもダメということです。

もちろん、能力のない人が後継者になるということはもっとダメなことですが。

つまりは極めて不安定な「バランス」の上に事業承継の成否が

かかっているのです。

おかげさまで私の場合はあまり優秀でなかったので、事業承継は

うまく行きました(笑)

しかしながら、次の息子の代への事業承継はどうなるかはわかりません。

親として非凡な息子ならば誇らしいですが、事業承継に非凡な才能はなかなか

悩みどころなのです。


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ハンコ

事業承継において、後継者が自分自身が代表になったと実感する

瞬間というのは、自分自身のフルネームが入ったハンコを押すことです。

法人が何かしらの行為をする時に必ずと言ってよいほど、代表者の名前が

必要になってきます。

言ってみれば、自分の名前であって自分の名前で無くなる瞬間でもあるのです。

日本という法治国家は「記名押印」というものが統治の仕組みであり、

「ハンコ主義」であり、時として自署よりも他人が書き加えた記名と押印の

ほうが効力があるという実態や実感とは現実はかけ離れていることを知ることに

なるのです。




「経営者のと報酬は判子代」という方もいらしゃるほど、経営者になるとハンコを

押す回数が飛躍的に多くなります。

私自身は毎日、社員から上がってくる、日報や報告書、稟議書などに押印する

ことが毎朝の日課になってしまっていますが、多い日で300回は押印という

行為をしていると思います。

何気に押印している書類一つ一つが個々にとっては重要な案件であり、

ハンコを押した以上、責任からは逃れられないのです。

「決裁=決断」であり、ハンコを押すことが決断という仕事をしているのです。




時として社運を賭けた契約書に押印したり、多額の借り入れをする時に書類に

押印する時には手が震えることがあります。

それだけ、責任という重圧と戦っている証です。

しかしながら、容易な決断、難しい決断というレベルの差はあると思いますが、

決断は決断あり、責任からはトップは逃げることができません。

ハンコを押すことの重要性をしっかりと後継者に理解させることは

事業承継の成功のカギなのです。




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生涯現役

平昌オリンピックを観ていて、レジェンドと呼ばれるスキージャンプ競技

の葛西紀明選手はオリンピック史上最多出場の8回目ということで「すごい」

の一言に尽きます。長年トップアスリートであり続けることの努力は

誰からも賞賛もされますし、ただ長くやることは出来てもその競技の

第一人者であり続けることは「レジェンド」という称号は的確でしょう。

平昌オリンピックが終わっても、次の4年後を目指す姿勢には感服します。

是非とも4年後を目指して頑張って頂きたいものです。



会社を経営する経営者でも、「生涯現役」にこだわる経営者は多々います。

学生の頃に創業してそのまま半世紀以上社長業を行っている社長さんが

私の周りにもいらっしゃいます。

90歳で社長・100歳で社長という方もいらっしゃいます。

生涯現役を貫く覚悟を持って社長業に邁進することは素晴らしいことですが、

事業を継承する観点から指摘をすれば、いささか問題があるのです。

仮に90歳まで社長の座に君臨していた方が事業を継承しても、継承者である

息子さんは既に還暦を超えていたというようなことになります。

継承者を育てるという観点からいえば、前任者が長くトップにいることは

デメリットばかりなのです。

私の場合は30歳で社長になりましたが、世間からは30歳の若造に社長は

早いという批判的なご意見も多数頂きました。

しかし、社長業を継承する時に前任者である社長が数年間は並走してくれた

ことは本当に有難いことでした。

実際には、並走中も意見の対立で揉め事は尽きませんでしたが・・・



私の本業である葬儀の仕事からは本人が望まずに「生涯現役」になって

しまったケースに何度も遭遇しています。

事業承継という概念すら意識をしない状態の中での突然の死。

社長が現役で死を迎えることが、企業において多大なリスクであることは

言うまでもありません。




「生涯現役」であり続けることは否定はしませんが、社長業として

トップアスリートであり続けることが絶対条件です。

トップアスリートであったことが過去の話しになった状態で社長で

あることは企業の衰退を意味し、その結果の不幸を招く原因になるのです。

私自身も気力・体力・知力が続くトップであり続ける努力はしなければ

なりませんが、同時にトップアスリートの後継者を育てる義務が存在します。

このバランス維持が事業承継の難しさなのです。






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ビジョン

経営者において「ビジョン」を持つことは非常に大切なことです。

辞書を引くとビジョンとは

1 将来の構想。展望。また、将来を見通す力。洞察力。

2 視覚。視力。また、視覚による映像。

とあり、将来を見据えた方向性を示す上でのビジョンは絶対的に

不可欠なものです。

「あの経営者はビジョンがない」

と言われることは屈辱的なことであり、ビジョン無き経営は危ういのです。

語源を辿るとビジョンは視角・視力という意味のほうが近いのですが、

ビジョンという言葉に「少し離れた」という意味が含まれていることから、

将来の展望という意味合いで使われることが多くなったのです。




事業承継においては継承する側もされる側も明確なビジョンが必要です。

ビジョンが不明確であればあるほど、様々な難題に直面する度に進むべき

方向性を見失う危険にさらされるのです。

ビジョンは中・長期計画と解釈をする方が多いのですが、間違いではない

のですが、厳密に言えば違うのです。

言葉の意味のとおり、想いを「見える化」していくこと。

そして、シンプルな言葉で表現をしなければ伝わらないのです。

ビジョンは羅針盤であり、目標点です。

言うなれば、ビジョンの下に中・長期計画があるべきなのです。




自らの進むべき方向をシンプルに明確にすること。

自分自身がいくら熟考を重ねて、素晴らしい文章で表現しても、相手に

伝わらなければ何もならないことを今一度理解しておかないと

ビジョンを策定しても自身の望むような結果は生まれてこないのです。







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葛藤

葛(かずら)と藤(ふじ)の枝が絡み合い、もつれ合っている様を表して

いる「葛藤」という言葉は人が人であることの心の様の象徴である

ことばだと思うのです。

世の中は「1+1=2」というような明確な答えを導き出せることのほうが

少数であり、どちらを選んでも後悔が残る選択をしていくことのほうが

多いのです。ベストという選択肢が存在しない中で、選択肢を一つに

絞り、実行していくことが「決断」であり、経営者にとって「決断」とは

経営そのものであると言っても過言ではないでしょう。

一つの決断がその後の結果に大きく関わる中で、間違えた選択をしない

ようにすることは実際のところ不可能に近く、どれを選んでも後悔が残る

からこそ「葛藤」をし、孤独を味わうものです。




俗に№1と№2の違いは天地ほど違うといわれますが、心の葛藤の

量が比べ物にならないからこその違いです。

もつれあい絡みあっている状態から解きほぐしていくことの能力は

誰にも必要な生きていく為のスキルですが、机の上の勉強では

教えることが難しいスキルだと言えるのです。

事業承継はこのことの教えるのに最も近道な勉強法であり、勉強する

機会は早ければ早いほど効果的なのです。

しかしながら、その勉強法は苦痛が伴う実体験であり、時として

苦痛に耐えられない人がおり、事業承継そのものが大失敗をしてしまう

ことがしばしば起きるのです。

そうならない為のケアができる「アドバイザー」が社内外を問わず必ず

必要なことだと思います。




事業承継においてアドバイザーは必要です。

当事者ではないアドバイザーが当事者の心の葛藤を見守らないと

最悪は破綻をしてしまうものです。

破綻しないように、そして心の苦痛に耐えられるだけのスキルを継承者

に習得させることが事業承継の肝だと言えるのです。




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