規律と自由

組織運営において私が重要なことだと思っているのが「規律と自由」のバランス

です。箸の上げ下げまでうるさいような「決め事」の中ではやはりギスギスして

しまいます。逆に自由過ぎてもいけません。

このバランスをとっていくことが、経営バランスの一つであり、組織のトップと

して一番のセンスだと思うものです。




先代から事業を引き継ぐ時は特にこのバランスが崩れるものです。

前の社長ならば、絶対に許されなかったことに「自由」が与えられたり、

逆にこれまで自由であったことが厳しくなったりという変化に社員が惑います。

また、これまで禁じていたことが許されたり、これまで許されたことが許され

なくなったりという変化は組織の中では大きな問題です。

もちろん、一定のルールに基づいての変更ならば良いのですが、そうで

なければ気をつけなければなりません。



バランスというものは本当にわずかな環境の変化でおかしくなるものです。

そして、変化に対応しなければならないという緊張感がまたバランスを

成立させているのです。

バランス感覚は経営者にとって本当に重要なスキルであるのです。


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わがままと気迫

事業を継承する後継者にとってあるものは基本的に「やる気」です。

もっとも「やる気」が無い後継者は後継者になってはいけません。

トップがやる気が無くなればその組織はすべてがダメになってしまうから

です。「やる気」は大切なのですが、「やる気」が空回りをすると周囲の人は

「わがまま」と受け取ってしまうことがあります。

基本的には経営者は良い意味で「わがまま」であるべきです。自分の経営

に対する信念やアイデンティティーをお客様や従業員・お取引先の皆さまに

伝えていくには「わがまま」のくらいが丁度よいのです。

しかしながら、実力も実績の無い後継者が「わがまま」の態度をとるとどうなるか

というと、「世間知らずのボンボン」なんて言われてしまうものです。

ですから、クレバーな後継者はどうしても遠慮をしてしまうのです。

遠慮は本来はするべきではありません。私も先輩経営者からは

「遠慮は傲慢」という格言を教えられています。

確かに遠慮をし続けると我慢の限界に来てしまったり、何かの歯車がおかしく

なってしまうのです。




ではどうするか?

「気迫」を見せることが事業の後継者にとって最も大切なことだと思うのです。

言葉ではない「気」で相手に想いを伝えることで、「本気」が周囲に伝わるの

です。



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後継者と借金

借金というものは「お金を返す」という絶対的な信用のもとに成立しています。

あたりまえのことですが、この信用が築けない相手とはお金の貸し借りが

成立しません。

事業承継をして新たに社長となった人の信用は基本的に余程の個人資産を

もっていなければ、基本的にありません。なぜならば、社長としての実績が

なければ、この人に経営を任せても大丈夫か。もっと言えばちゃんとお金を

返して貰えるのかということを貸した側が疑うのは当然のことです。

会社経営にとって借金を返すということは、安定的に利益を出すことに他

なりません。たったの一年だけ莫大な利益を生み出して、あとは赤字続き

という企業では長期の借金の返済能力は疑われます。

企業後継者にとって本当の意味の信頼を勝ち取るには、やはり、利益を

安定して出し続けることに他ならないのです。

借金は資産だと言われる方もいらっしゃいますが、本当に信用という観点

で考えればその通りなのです。




そうはいっても事業承継というのは、先代からの借金を継承することからは

逃げられません。企業において無借金経営としている優良企業はまずありません

から、企業の継承において何らかの借金があることは当然のことです。

先代からの借金を返すこと出来、新たに自分自身の借金が出来るようになった

時、本当の意味で事業承継が完了した時ではないでしょうか。

そして、自分自身で借りたお金を必ず返すことで初めて会社を「存続」できる

のです。


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