ハンコ

事業承継において、後継者が自分自身が代表になったと実感する

瞬間というのは、自分自身のフルネームが入ったハンコを押すことです。

法人が何かしらの行為をする時に必ずと言ってよいほど、代表者の名前が

必要になってきます。

言ってみれば、自分の名前であって自分の名前で無くなる瞬間でもあるのです。

日本という法治国家は「記名押印」というものが統治の仕組みであり、

「ハンコ主義」であり、時として自署よりも他人が書き加えた記名と押印の

ほうが効力があるという実態や実感とは現実はかけ離れていることを知ることに

なるのです。




「経営者のと報酬は判子代」という方もいらしゃるほど、経営者になるとハンコを

押す回数が飛躍的に多くなります。

私自身は毎日、社員から上がってくる、日報や報告書、稟議書などに押印する

ことが毎朝の日課になってしまっていますが、多い日で300回は押印という

行為をしていると思います。

何気に押印している書類一つ一つが個々にとっては重要な案件であり、

ハンコを押した以上、責任からは逃れられないのです。

「決裁=決断」であり、ハンコを押すことが決断という仕事をしているのです。




時として社運を賭けた契約書に押印したり、多額の借り入れをする時に書類に

押印する時には手が震えることがあります。

それだけ、責任という重圧と戦っている証です。

しかしながら、容易な決断、難しい決断というレベルの差はあると思いますが、

決断は決断あり、責任からはトップは逃げることができません。

ハンコを押すことの重要性をしっかりと後継者に理解させることは

事業承継の成功のカギなのです。




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生涯現役

平昌オリンピックを観ていて、レジェンドと呼ばれるスキージャンプ競技

の葛西紀明選手はオリンピック史上最多出場の8回目ということで「すごい」

の一言に尽きます。長年トップアスリートであり続けることの努力は

誰からも賞賛もされますし、ただ長くやることは出来てもその競技の

第一人者であり続けることは「レジェンド」という称号は的確でしょう。

平昌オリンピックが終わっても、次の4年後を目指す姿勢には感服します。

是非とも4年後を目指して頑張って頂きたいものです。



会社を経営する経営者でも、「生涯現役」にこだわる経営者は多々います。

学生の頃に創業してそのまま半世紀以上社長業を行っている社長さんが

私の周りにもいらっしゃいます。

90歳で社長・100歳で社長という方もいらっしゃいます。

生涯現役を貫く覚悟を持って社長業に邁進することは素晴らしいことですが、

事業を継承する観点から指摘をすれば、いささか問題があるのです。

仮に90歳まで社長の座に君臨していた方が事業を継承しても、継承者である

息子さんは既に還暦を超えていたというようなことになります。

継承者を育てるという観点からいえば、前任者が長くトップにいることは

デメリットばかりなのです。

私の場合は30歳で社長になりましたが、世間からは30歳の若造に社長は

早いという批判的なご意見も多数頂きました。

しかし、社長業を継承する時に前任者である社長が数年間は並走してくれた

ことは本当に有難いことでした。

実際には、並走中も意見の対立で揉め事は尽きませんでしたが・・・



私の本業である葬儀の仕事からは本人が望まずに「生涯現役」になって

しまったケースに何度も遭遇しています。

事業承継という概念すら意識をしない状態の中での突然の死。

社長が現役で死を迎えることが、企業において多大なリスクであることは

言うまでもありません。




「生涯現役」であり続けることは否定はしませんが、社長業として

トップアスリートであり続けることが絶対条件です。

トップアスリートであったことが過去の話しになった状態で社長で

あることは企業の衰退を意味し、その結果の不幸を招く原因になるのです。

私自身も気力・体力・知力が続くトップであり続ける努力はしなければ

なりませんが、同時にトップアスリートの後継者を育てる義務が存在します。

このバランス維持が事業承継の難しさなのです。






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